本日の移動は100キロと少し、時間にして3時間半ほどの予定だ
ポンドゥルという名の町に行く
知る人ぞ知るカディの聖地、のはずだが、果たして・・・
ローカル列車でヴィシャカパトナムからポンドゥルへ
朝8時台のパッセンジャー(近郊列車)に乗ろうと思っていたのに、前夜咳で眠れず、やっと眠ったと思ったら寝過ごした。
仕方ないので次の11時40分発に乗ることに。
オット氏が昨日歩いている時に、列車のゼネラルオフィスのようなものがあった、と言うので、早めに出てそこに行ってみることに。
8日のコルカタ行き、WLのままびくとも動かないのである。
これで乗れなかったらほんとに怨むわスリカラハスティの駅員!
4800ルピーも出して買ったTATKALのチケットが、2800ルピーのSLのWLチケットにすり替わってしまったのだ。本当に職業意識が低すぎて嫌だ。その場さえうまく丸め込めれば、後は野となれ山となれ。どうせ1000キロ以上の距離を、「乗れなかったじゃないか」と文句を言いに帰ってくるわけがない。そう考えているであろうことが見え見えだ。だから嫌になる。
結局、オットが見たのはただのブッキングオフィスで、何の進展もなかった。がっくり。
30分以上前に駅に着いたのに、すでに席はかなり埋まっているというか占拠されている。4人並ぶところも横になっていれば座るのはちょっと。
それでも歩いて席を確保した。
因みにパッセンジャーは日本だと高崎線普通列車みたいなもの。予約はできないと思う。ゼネラルの車両で、早い者勝ち。
列車は20分ほどの遅れでポンドゥルに着いた。かなりの人が降りそうだ。2分しかないから降り損なわないようにしないと。
後ろでは殴り合いまで始まっていたそうだ。何をそんなに争っているのか。よくわからない。
さて、ポンドゥル。
情報の少なさで言えば、今回最もなんの情報もないのはここだと思う。
カディが有名、それもごくごく薄いカディの産地。ガンジーさんが激賞した布らしい。今も手紡ぎしている希少な地。
その程度のことしかわからない。
グーグルマップにも何もない。ホテルのマークもない。booking.comでもホテルが出てこない。
それでも・・・。
商人宿のようなものくらいはあるだろうと思っていた。なんたって列車駅があるのである。どんなド田舎でも、列車があるというのはそれなりの大きさの町なのであろう。行けばあるはず。そう踏んでいたのだが。
ただ正直、マンガラギリよりはオートや車が見えて大きな町に見えた。だから町に行けば宿は見つかるだろうと、ここに至ってなお思っていたのだが。
ポンドゥル到着
駅からのオートは大きな三差路のようなところで終わる。そこは後でわかったが、幹線道路に面したところで、そこからポンドゥルの町方向、スリカクラン方向へのバスに乗ることができる。町へはそのままオートに乗るのが早い。
「ところで一体何をしにポンドゥルへ?」
と英語のできる人に訊かれ、
「カディを見に、カディを作っているところを見に来ました」
と答える。
「なるほどなるほど」と、その人はオートの運転手に何やら説明し、オートもわかったと。20ルピーだと。
この時点でかすかな疑念、また店に連れていかれるんじゃ・・・、とは思ったが、店なら店でそこで訊けばいいので、オートに乗ることにする。
本当に親切な人にいつも助けられている。
オートが停まったのは、果たしてカディショップの前だった。やっぱり・・・。
店の中に入ってみるが、ちょうど混雑しており誰にも話が聞けない。困ったな。
いったん店を出て、向かいの暇そうな人に「カディを織っている場所に行きたいのですが」と訊いてみると、
「そこだよ、その店の横、そこに行くといいよ」
言われて見上げると、何やら大きな看板が出ている。店の横に門のようなものがあり、その奥に建物が見える。
半信半疑でそこに行ってみる。何人もの人をたらいまわし状態で巡り、最後に連れていいかれたのがここ。
ここの責任者が、私のような見学者をさばく役目も兼ねているらしい。ちょっと待ってて、案内してあげると言われたはいいが、次から次へと人が糸を持ってくるので、どうにかなるとも思えなくなってきた。
「ところでガイドもいないの? どうやってこの場所を知ったの?」
「ガイドはいません。カディのことを調べていて、ガンジー氏が激賞したカディがここにあると知って、町に来てみました。あとは町の人がここを教えてくれて」
「はあ、紹介者もいないということだね?」
「はい・・・」
「それは困ったね」
と言いながらふと我々の荷物に目を止めた責任者氏。
「どこに泊まっているの?」
「実は列車で直接ポンドゥルに来て、駅からここに来て、宿はないらしく、これからスリカクランまで行って宿を探そうかと」
・・・・・・・・・・・・・?
いやいやいやいやどうもすみませんほんとうに。
ただ、その後の対応はなかなかのものであった。
「ではこうしよう。あなたはまず、セキュレタリーにレターを書かなければならない。なぜここに来たか、何をしたいのか、それを書きなさい。それからセキュレタリーに紹介しよう。その後スリカクランに行き、泊まり、明日また来なさい」
「わかりました」
私の中2レベル英語で何をどう書けばいいのか迷ったが、自分がカディに大変興味を持っていること、ここにはインドでもう消えつつあるピュア・カディがあると知ったのでぜひ見たいと思うこと、などを書き連ね、セキュレタリー氏に話をつけてもらった。セキュレタリー? セクレタリー? 秘書みたいな立場の人なのかな?
紆余曲折はあったが、何とか明日、見学させてもらえることになったのは、訪問から2時間ほど経った頃だったか。
何だかわけがわからないが、何とかなりそうな感じにはなってきた。
動力は人、の紡績機が回っていた
敷地内には小さな工場のような建物がある。そこに女性たちが入って行くのを少し前に見ていた。何だろう? 責任者のような人に尋ねると、入って見て行っていいよとのこと。ありがたく入らせてもらう。
皆さん明るくて、写真を撮っていると手は止めないまでも笑顔を向けてくれた。南インドは本当に全体的に明るくて好きだな。
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