メコンのほとりの静かな町・パクライからさらに内側へ
サイニャブリという街をめざして移動した
年に1度の象祭りを見にレッツゴー!
タイの、たぶんピサヌローク辺りだったと思うが、これからどこへ行くか考えていた時にラオスの象祭りを思い出した。それと同時に、以前越えようとして越えられなかった国境のことも思い出した。調べてみるとちょうど象祭りが近々開かれるではないか。これは行くしかない! というわけで、タイからラオスへと入ったのだった。ただし時期についての情報が錯綜し、ルーイで連泊したのも実は時間調整の意味合いもあった。そんなこんなで、象祭りが開かれるサイニャブリへ向かう。
パクライからサイニャブリへ乗合ソンテオで向かう
ケンタオからパクライまでは約1時間半の移動だったので、ソンテオでもまあ何とかなった。
次の町サイニャブリまでは4時間という話なので、ソンテオはきついだろう。ミニバスに乗りたい。ケンタオからサイニャブリ行のミニバスはあったから、それがパクライに寄る時に乗れればいいと思った。もっと言えば、バス駅まで行かず、町の中を通過していく時に止めて乗れないかなと考えた。
宿の主人に訊いてみるが、街中で乗るのは賛成しないと。止まらないよとも。
ラオスはそういう感じなのか? 過去のことはあまり・・・、数年前に南ラオスでバスをたしか6時間とか待ったことがあったが、一応道端で止まってくれるバスがいないわけではなかった。もちろん日が暮れかけており、向こうもこれはまずいと思ってくれたのかもしれないが。
さらに主人曰く。
私が北バス駅で見たソンテオは、ルーイからルアンパバンへ行くやつであり、それ以外はミニバスだ、とのこと。
うーん、俄かには信じがたい。あのボロのソンテオが、国境バスだと? いかに乗客が少なかったとしても、さすがにそれはないだろう。ただ、時間的には主人の言うとおり、ルーイを朝出ればそのころかな、という時間にそれはいたのではあるが。
ともかく、朝8時半発がいちばんミニバスの可能性が高そうなので、起きて行ってみることにした。
バス駅まで行くトゥクトゥクをつかまえようとしていた時に、初めて中国人を見かけた。ケンタオに行くそうで、我々とはバス駅が違う。しかし運転手はどっちも行くよと3人を乗せ、まずは北バス駅へ。中国人も一緒に降りようとしたのを皆で止め、あなたは南バス駅だよと教えた。
バス駅に着くと、待っているソンテオがいた。訊けばサイニャブリ行き。その隣にも1台ソンテオが。それが次のサイニャブリ行きだと言う。どれに乗ろうとしてもこれになってしまうのか? ケンタオから来るバスに乗ることはできないのだろうか……。そう訊いてみるのだが、相手は英語をまったく解さないし、こちらも本当に片言のタイ語しかできないわけで、
「ケンタオ・・・ロットゥー・・・パイ・・・サイニャブリ?」
的なことしか言っていないのだ。これでは話が通じなくて当然だな。
結局、最初に出るソンテオに乗ることに。誰も乗っていないが出発した。
木薯、調べてみるとキャッサバとのこと。南の国ではよく聞く名前だ。
あちらでもこちらでも焼き畑をしている。斜面も焼いて、何か作付けている。中国が近いので、開発の波が押し寄せているのだろう。サイニャブリに着くまでに2台だけだが、中国ナンバーのトレーラーを見かけた。コロナ騒ぎがなければもっと来ているのかも。
とか考えていると車が路肩に停車。ここまでもスピードを上げずに走っており、これじゃまったく4時間では着かないと思っていたのだが、調子が悪いのか。
それにしてもまだ1時間も走っていないのに絶望的・・・。
私だけではなく、全員似たような感じで乗っている。ほんと寒いです。日中は35℃くらいになるのに朝晩は案外冷える。
どのあたりだったか定かではないが、このルートで初めて、大型バスとすれ違った。タイラオスの国境間を走るブルーのバスなので、ルアンパバン発ルーイ行だと思われる。そりゃそうだよねー、いくらなんでもインターナショナルバスがソンテオってことはあり得ない。
サイニャブリ南駅に到着
そろそろサイニャブリか、と思い始めたあたりでソンテオは道路脇の広場に入り、「はい降りて~」
町も見えていないのに、ここがサイニャブリだと言う。出発から5時間、1時間も遅れたのに詫びのひとつも・・・あるわけがない。
そしてここから町まで2万キップとのこと。どうもわからないのだが、160キロくらい走って6万、ここから町の数キロで2万。ラオスの人はこれでいいのか? せめて町の入り口くらいまでは行ってほしいな。
幼児二人を連れた若い母親が、馴れ馴れしく腕に抱きつくようにしては、何か言ってくる。ここから先のバス代を恵んでくれ、と言っているようだ。そういう話はごめんなので、広場にいた小さめのトゥクトゥクに乗り換えようとしたところ、ここまで乗ってきたソンテオがタクシーになって町まで行くと言う。
後から考えれば、その親子をタダで乗せるということで、運転手と話が付けられたのだと思う。我々が小さいトゥクトゥクに乗れば、その親子は困るだろう。あまり気分のいい話ではないが、まあ自分たちが町まで行ければそれでいい。
運転手に目星を付けていたゲストハウスの名前を言い、行ってもらう。これが町の中心から少し離れており、間違いの始まりであった。
いきなりの「フル!」攻撃。
それでは他の、と、これも目星を付けていた近くの宿を当たろうとしたが、サイニャブリという町は街区が大きい社会主義国特有の造りの町だった。1本先の道を右に・・・、の、1本先までがすごく遠い。これは参った。
炎天下、ザックを担ぎ、宿を探す。見つからない。フルか、足元見られてふっかけられるかのどちらか。圧倒的にフルが多い。5~6軒当たってダメで、こりゃまずいと思い始めたところで、ようやく部屋があった。いまいち気が乗らない古さと薄汚れた感じではあるが、途中見たボロ宿よりはマシだし、値段もこの町では良心的と思える10万キップだったので、とにかく荷物を下ろそうと決める。
部屋は2階、明るいのが救い。サイニャブリに着いてから1時間以上が経過していた。
サイニャブリでさらに宿を探してうろうろ
宿からは市場が近く、この点ではポイントが高い。市場の中の店で麺を食べる。2軒で訊いたがどちらも15,000。どうやらここの相場がそれらしい。綺麗なお姉さんの店で食べる。
帰ってきてシャワーを浴びる。あらぬ所から水が漏れる、あらぬ方向へシャワーヘッドから飛んでいく、シャワーヘッドを固定する場所が異様に低い・・・、などの安宿によくあるしょうもなさに目をつぶって浴び終わり、続けてオット氏が浴び始めた時である。ノックの音がする。出ると宿の人で、
「水が! 下に! 部屋変わってください!」
何しろお互いテキトーな英語なので、ここまで理解するのにも2分はかかっている。どうやら水が下に漏れたらしい、部屋を変われと。
その部屋は、最初に見せられ、勘弁してくれと言った1階の暗い部屋だった。インドの超安宿を彷彿とさせる侘しさで、もうこういうのは勘弁だと思ったのだが。
仕方ないので部屋を移り、午後遅くなってから宿探しに出かけた。
ない・・・・・・。
年1度の大イベントなのだから当たり前だが、宿はほとんどない。たまにあると言われると、トイレシャワー共同でベッドがない(!)部屋だったり、便座がなかったり(!)、それなのに15万キップだったり、するのである。町の半分は歩いて当たったが、結局動いてもいいと思える宿はなかった。1軒だけあるにはあったのだが、町はずれすぎて食べ物を買うのにも苦労するのが目に見えていた。
君の家に泊めて!
じゃなかったら自転車貸して!!!
祭り、君の家に泊めて、で思い出すのは30年近く前の中国雲南省、ミャンマー国境のリス族の村。いつか書こうと思う。書いたらリンク貼る。
市場で売られているものいろいろ
市場を出て川の方へ行ってみる
この人によると祭りは4日間とのこと。
そうなんだ?
ネットで調べられた範囲では、祭りは2月21日から28日。今年は長いんだなと思っていた。その前は16日からと古い情報を見て思い込んでおり、個人的に情報は錯そうしていた。
ケンタオのバス駅では、21~28説が有力だった。そしてこの町に着くと、22~28になっていた。何だか全然わからない。わからないがこれがラオスなんだろう。たぶん祭りは行われる。
宿を探してうろうろしていた夕方、たまたま川の近くを歩いていると、対岸に大きな動くものの影が。よくよく見ると象だった。少なくとも3頭いた。
祭りなのに象の姿を見ないな、こちらに向かって歩いていたりしないのかな、と思っていたのだが、ようやく見つけた。象は既に集結(?)し始めている!
宿に戻り、一体誰がやるとこういう無茶苦茶でなおかつ改善の意図が微塵も感じられない配管になるのか、と頭を抱えたくなるあっちもこっちも瑕疵だらけの青い管がのたうち回る狭いバスルームでシャワーを浴びた。足元にどんどん水が溜まっていく。排水口が見えない。もしかして、タイルの隙間などから自然排水???
と思ったが、オットによるとトイレの後ろの方に何やらそれらしきものがあり、そこに恐ろしくゆっくりと排水されているらしい。
この排水は、今回の旅の最悪の部類に属する、いや最悪かも・・・。
夜になると宿の周辺が多少賑やかになり、串焼きのような店が数軒並ぶ。いまひとつ食指が動かない。宿のお姉さんに訊くと、
「あれはチャイニーズ! チャイニーズのQ! ノーラオス!」
と、えらくご立腹の様子。「チャイニーズ」という単語をこんなに嫌そうに、鼻に皺を寄せて発音する人も珍しい。よほど嫌いなようだ。
中国から入ってきた食べ物、食べ方? なのだろうか。
因みにQとはバーベキューのキューかと思われる。タイ、ラオスでは、エアコンのことは「エ~」と言うことが多い。おもしろい。
結局市場に行き、焼きアヒルとカオニャオを買って戻る。タイでプラスチックの皿を買ったので、こういうのもオーケー。実際買ってきて食べるのが値段的には安い。あまり食べるところもないし。
サイニャブリ、そんなこんなで、何とか宿は確保した、祭りはどうだ、というところで。
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