DAY12 壽峠を越えて大武へ
今日は環島最大の難所、壽峠を越える。海抜460mだが、下から上がっていくとアップダウンがあるので、獲得標高は600を優に超える。それを自転車で! よく考えたらあほなことである。
そして今日の天気予報は「風」
風速35~45とスマホには出ている。
大丈夫か、と今さら考えてももう遅い。ここまで来てしまうとエスケープルートはない。行くしかない。
泊った宿、萬春民宿、1泊1000元。
自転車に荷物を付けていると宿のおばあさんが出て来てくれて、身振り手振りで「朝ごはん食べて行け」と。この方は中国語が殆ど話せない、話しているのは台湾語なのか原住民の言葉なのかわからない。
粉末のコーヒーと、トーストにジャムを塗ったもの、を食べた。
出発する時、何とこのおばあさん、直立不動で頭を下げ「ありがとうございます!」と。子どもの時に日本語教育を受けたのだろう。すこし複雑な気分で宿を後にした。
さて。
風は四方八方からバタバタと襲いかかってくる感じだ。たまに勢いが弱まることはあるが、ほぼずっと強風に叩かれて走る。温泉街を抜ければもう上りが始まる。とにかく延々と、最初は緩いアップダウン、それがだんだんはっきりとした上りになる。
因みに、日本語では「原住民」という言葉を使うことに抵抗がある人が多いかと思うが、台湾ではこの言葉はごく普通に使われている。
このあたりは「牡丹社事件」があった場所。
この写真を最後に、後はもうひたすらひたすらじりじりじりじりと、這うように進むのみになる。車の往来が少ないのだけが幸いで、山道が延々と続く。たまに平らになったり下りになったり。平らや下りのところで下りてきたサイクリストに「加油!」なんて言われれば「謝謝!」と元気に返事したりできるのだが、上りでそれをやられても声も出ない。手を振れればいいけど左手は五十肩でそういう風には動かせないという体たらく。
途中の山道で、後続の夫を待つため止まろうとした。割と路肩が広く、そこで止まったら足がうまくつかなくて、後ろに尻もちをつく形でコケた。しかも後ろは地面がなく崖だった。後ろでんぐり返りの形そのままにコケて落ちたが、幸いそこは笹が密生していてどこも打たなかった。ただ、斜面に逆さまにひっくり返った亀みたいな感じで、しばらくジタバタしてしまった。何とかかんとか笹につかまって道路に戻った。1コケ。
それでもとにかく上り続けて、上り続けて、あと0.5公里の看板に驚喜し、壽峠にたどり着いた。
トイレが借りられ、ウォーターサーバーがあるので水か熱湯がもらえる。ありがたや。
風が強く気温も高くはない。防風パンツをずっとはいていたが、暑くなかった。風よけのヤッケも着たまま上った。
ところでこの旅初めて、前のギアを1に落とした。上りはほぼずっと1-4から1-1で上り、どうにもきついと思ったら下りて押して歩いた。このギア、2に戻せなくて、下りや平らなところに出てもそのまま走った。
さて、ここからは下りメインの道になる。東海岸に向かってどんどん下りて行く。風が強くあおられて怖い。とてもじゃないがスピードは出せない。ギアも1のままだし。
たまに上り返す場所もあって、そういうところは「何でだー」と叫びながらギアを落として進んだ。ロードバイクにどんどん抜かれた。バイクにもどんどん抜かれた。車もそこそこいる。
ようやっと山道を下り終えたところにコンビニがあり、一休み。
ここで宿を探せばよかったのだが、大武までそんなにかからないだろうと思ったのが間違いだった。
海岸線まで出ると、風はさらに強く、ほぼ向かい風になった。海岸線を走る国道は片側1~2車線で、バイクレーンはないに等しい。いやなかったかも。休日で車の出が多かった。そして道はあほみたいにアップダウンが続いた。風であおられれば車と接触しそうだ。減速してくれる車もあるし、高速ですり抜けて行く車もある。あまりにも危険と思ったら下りて押した。
ようやく大武の町はずれに着き、最初の宿に行ってみたが満室だった。そこの人が教えてくれたもう少し先の宿に行ってみると、こちらは部屋があった。何でもいいので泊まることにした。すぐ近くにコンビニがあって便利だったが、食堂の類は全然なくて結局またコンビニご飯になった。
とにかく風に叩かれ続けた1日だった。
走行距離 48km
所要時間 6時間50分
朝7時出発、午後1時50分到着
コメント
[…] 台湾の3回目を書いたのでよかったら。こちらです […]