2025中国&ベトナム9・カオバンから龍邦国境を越えて靖西へ

2025年4月に中国雲南省~ベトナムハザン省~中国広西壮族自治区を回る旅をしました。
今回はベトナム北部のカオバンから滅多に使われない中越国境を越えて龙邦(ロンバオ)へ、そして靖西まで行く話です。(龙は龍の簡体字)


実際にはこの地図の龙邦鎮へ入ってそこからバスに乗っています

 

カオバンから国境へ

ベトナム側の国境tra lingへはカオバンのバス駅からバスがある。うっかり金額をメモするのを忘れたが、たぶん5万ドンとかそのくらいだと思う。このバス駅からカオバン市内中心部まではかなり距離があり、タクシーで9万ドンほどかかる。市内からバスに乗ることはできないのか、前日の夕方考えて人に訊いたりしてバス停を探し当てた。

カオバン市内のバス停

珍しく行先が英語表記されている!
Ta lung Border Gate 。あるある、ここから国境まで行けるじゃん!
どんなバスが来るのかちょっと見てみよう、しばらく待っていれば来るんじゃないか。

バス停はこんなところ

なかなかバスは来ない。

ふと、なんか違うな? と思った。何かが違うぞ。

バス駅で見た国境の地名は、Ta Lung だったか? ちょっと違わないか?
スマホの画像を出して見てみた。

Tra Ling   じゃないか! 似ているが違う場所ではないか? どちらかが誤植なのか?

マップ上で検索してみたら、Ta Lung はカオバンの南東にある国境だった。中国側は水口鎮で、龍州へ出て崇左へ抜けられる。だが多分ここは中越両国の人しか通れない(と思う)。まぁ自分が行こうとしている国境も、越えられる確証はないのだが。

危なかった。別の国境へ行ってしまうところだった。

翌朝。
何となく車を探しながら町をぶらぶらした。昼にバスがあることはわかっている。直行する車が探せなければバス駅へ行けばいい。

BUN という食べ物

最初、左側の丼だけが出てきたので、何だこれは? と思ってしまった(^^; 後から腸粉のような? ものが出てきて、目玉焼きもついてきた。35000ドンだった。美味しかった。

宿をチェックアウトして通りを歩いていると、何人かから声がかかった。国境まで言い値は35~40万だ。ちと高い。バス駅へ行く方へ傾きだした時に、30でいいと言う人がいた。ベトナム最後だし乗っちゃうかと。

Tra Ling Border(国境)

またまた閑散とした国境に着いた。10時過ぎだったと思う。

ベトナム側の建物

誰もいないので少し待ち、すんなり出国。

中国側も立派な建物

反対側はベトナムと書いてある

中国側の建物に入ったところで呼び止められ、「英語の通訳は必要か?」と訊かれた。返事をする間もなく電話をかけ始めて若い女性がやってきた。

だがこの人、英語はあまり話せないらしい…………(^^;

入国カードを書いている間、ずっとその女性と上司らしい男性が付き添ってくれる(書きづらい)。唐突に女性が
「いくつですか?」と英語で。
おや、年齢を書くところがあったっけ? と用紙を見ても年齢の欄はない。単に知りたかっただけらしい。「60歳です」と答えるとびっくりしていた。
その二人に誘導されて、他に誰もいない入国審査窓口に行き、無事に入国。私は気付かなかったが、建物を出る時に夫が振り返ったところ、件の女性がアイドルっぽく「お手振り」をしてくれていたのだそうな。

無事入国してから振り返る

この大きな太鼓のようなものは何ですかね?

土産物の露店が2~3軒

国境を出ればミニバスのようなものがあって、うまくすれば靖西へ直接行けるのではと思っていたのだが、何もない……。観光客が乗ってきたと思われる乗用車が数台あるのみで、他には何もない。

そのまま直進してみた

町になっているのかと思い直進してみたが、廃墟のような建物が少しあるだけで、人もいない。ようやく見つけた人に訊いてみるが、バスはないし、この先に町はない、町は山の上だと言う。
困って国境に戻り、警備員らしき人に訊いてみると、龙邦の町は山の上にあり、上に行けばバスがある、そこまで行くには乗り合いで5元、と教えてくれた。乗り合いらしき車は見当たらない。国境を越えてくる人が誰もいないからだ。カオバンのバス駅を出るバスが到着する時間になれば、もしかしたらあるのかもしれない。

百度の地図によれば、200mほど歩けばそこに「国際バスステーション」があるはずだ。上り坂というのが誤算だったが、その程度なら歩けるだろう。露店のばあさんが「30元でどうだ!」と言ってきたが、座席もないリヤカーでそれはぼったくりだろう。
歩くことにした。

 

龙邦の廃墟から靖西へ

国境前の駐車場?

結局、国境を背にして右手斜め前方向に、車道を歩いていくことになった。真面目に何もない道だ。車通りも殆どない。すぐに上りになる。気温はおそらく35℃前後、暑い。

坂道の途中で国境を見下ろす

ショートカットできそうな歩道が見えているが、途中がけ崩れで潰れていた。

百度のマップを頼りに一本道の上り坂を歩いて行く。カーブを曲がる。そこには何かがあるとマップには出ているが、実際には何もない。百度の地図もかなり滅茶苦茶らしい。
やがて右手に何やらコンクリート造りのものが見えてきた。マップと照らし合わせても、これが「龙邦国際バスステーション」に違いない。よかった、と思ったのは一瞬だった。バス駅にしてはあまりにも閑散としている。周囲も崩れかけたような放置された荒れ地である。真ん前まで歩いて行く。壊れた鉄扉がある。その奥に建物があり、見上げると「龙邦国際バスステーション」というプレートがある。
しかし、そこは廃墟だった。
しっかりしてくれよ、百度地図!

だがしかし、人の気配がする。とにかく訊いてみようと中に入ってみる。男性が数人、立ち話をしていた。
「すみません、ここはバス駅ではないのですか?」
「え? あぁ、昔はバス駅だったけど今はもうやめてしまったよ」
「えぇぇぇぇぇ」
「あんたらどこに行くんだい?」
「靖西へ行きます、バスはここから出ていると下で聞いたんですけど」
「いや、ここじゃないよ、龙邦の町から出ている」
「龙邦へはこのまま歩いて行けば?」
「うん、この先だけど…………」
主に応対してくれた男性はこのあたりで言葉を切り、汗だくの私と夫をじっくりと眺め、
「乗って!」
と唐突に言った。
「え?」
「車、車に乗って! 歩いては行けないよ、送るから」
「いやそれは申し訳ないですから」
「いやいいから! 乗りなさい!」

そこに停められていた白い立派な車の後部座席に押し込められるように乗せられた。助手席には気付かなかったが年の多い男性が乗っていた。応対してくれた人が運転席に乗り込み、車は何度か切り返して道路に出た。
少しの間山道が続く。上り切ってすこし走ると大きな、しかし閑散とした交差点に出た。左折すると龙邦という表示があった。車は曲がり、なお走った。やがて集落の外れに差し掛かり、百メートルも走ったろうか。
「これが靖西へ行くバスだよ」
と、道端に停まっている小さなバスの後ろに車が停まった。

ここまで歩いたら…………。1時間くらいは優にかかる気がする。いやもっとかも? 送ってくれたお二人に礼を言い、車を降りる。
バス駅、はあっただろうか。あった気がする。バスの入り口で手招きする車掌さんに「トイレ行ってくる!」と告げたのは、バス駅の中にはあるだろうと思ったからだ。
が、そこにトイレはないのだそうで。やり取りを見ていた車の助手席からご老人が降りてきて、「ついて来な」と。ご老人、バス駅から少し離れた食堂に入って行く。そこの人に声をかけ、トイレを借りてくれた。大急ぎで用を済ませ、ちょうど水が売られていたので2本買い、皆さんにお礼を言って待ってくれていたバスに乗り込んだ。

慌ただしくてこんな写真しかない

中ほどの2人掛けの椅子に座ろうとすると、1人掛けの椅子に座っていた女の子が何か言う。「有人マ?」と訊くとうなずいたから、誰かが取っている席なのだろう。その後ろに座った。
その人を待たずにバスは発車。20分ほど走ったところで杖をついた老人が乗ってきた。前の席に座る。この人のために空けてあったのだなとわかった。

小型のバスだった

前方右手に立っているのが車掌さん、おそらく運転手の奥さん。国境で聞いていたとおり15元だった。

相変わらず小さな山がぽこぽこしている風景の中をバスは走り、検問もなく、靖西のバスターミナルに着いた。龙邦から靖西へは45kmほど。1時間半ほどで到着した。

ちょっとした観光地に行くバス

「乗るか? どこへ行くんだ?」
と親切に声をかけてもらったが、この町で泊まるのでと断った。

富寧や南寧、百色なんかにも行けますね

南寧空港への直通豪華ワゴンもあった

しかし暑い!

バス駅の近くをうろうろと宿を探して歩き、小さな市場のような場所を通り越した先で見つけた宿に決めた。

よく見るチェーンのホテル

1泊165元。きれいでよかった。

トマト卵炒めごはん

10元だったかな。スープは別料金。
食堂の子どもか、単なるお客かわからないが、中学生くらいの男子が3人、焼きそばを食べていた。そんな年頃の子たちなのに、驚くほど静か。全員がひたすらスマホを見ていて会話ゼロ。今時はこういうものなのかねぇと思いつつ店を後にした。

 

龙邦国境はいろいろと検索してみても全く通行情報がなかった。ただ、国家一類であるのと、2023年暮れに国際国境(?)になったという中国語の情報(わかる人はこちらどうぞ)を見つけた。よくわからないものの、それまでも国家一類として開いていた国境を、わざわざ「国際国境として開通」と言うからには、第三国人に対しても開かれたのでは? と思った。不確かではあったが、行けるんじゃないかな~と行ってみたら越えられた。少なくとも、2025年4月には、この国境は通過可能でした。
国境まで行ってダメだったらカオバンに戻り、友誼関(ドンダン~ピンシャン)へ回らないといけなかったので、越えられてよかった♪

幻の国際バスターミナルから町のバス停まで送ってくれたお二人に、心からの感謝を!

(つづく)

 

 

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