2025年4月に中国雲南省~ベトナムハザン省~中国広西壮族自治区を回る旅をしました。
今回は最奥地のドンバンからハザンへ戻り、ズーザー行きを断念してカオバンへ向かう話です。
地図上Aがドンバン、左下にハザン(ハジャン)があり、右手に進んでBのカオバン。
当初はハジャンから右斜め上にあるポイント、ズーザー村へ行き、バイタクとバスを使ってドンバン下のポイント、メオバック村へ行き、そこから何らかの手段で青の実線ルートに出て、カオバン行きのバスをつかまえる予定だった。
ドンバンからハザンへ戻る
メオバックへ抜けることも考えられたのだが、マーケットの曜日的に合わない。メオバックのマーケットはドンバンと同じで日曜日。私がドンバンに入ったのが火曜日だったから待ち時間が多い。しかも帰国便に乗るために翌火曜には南寧に入っていなければならない。
ハザンへ戻り、ズーザー村に金曜日に移動。土曜にズーザーの市を見てそのままメオバックへ移動(バスはないのでバイタクか車がチャーターできればそれで)、日曜にメオバックの市を見てそのまま何らかの方法でハザン~カオバンのルートに出る。そこまで出ればバスがあるだろうからその日のうちにカオバンへ移動。翌月曜に中国に入る、これも不明確な国境越え。そして火曜に南寧へ移動、水曜に飛行機に乗る。
かなりギリギリである。できるとは思うが。
というようなことを考えて、ともかくいったんハザンへ戻ることにした。

ハザンへ戻るバス

割と普通の中型バス
このルートは僻地だからか、定員を超えることはなかった。昔はヒトと荷物と動物で積載重量をはるかに超えて走っていたものだが、そもそも人がいない感じだった。

ぽこぽこ山

コスモスにしか見えない花が咲いていた

街道から分かれていく道
こういう道をたどったら面白そうだと思うが、自前の足がないと無理。

たくさんのバイク

ホーおじさん(か?)違うかも

昼ごはん休憩
この前に、リゾートホテル風の場所に寄り、欧米人カップルを乗せた。バイクツアーに参加していただろうと思われる人たちだったが、事故で女性の方がケガをしていた。ツアーはそのまま先に進み、カップルだけがハザンに戻るところだった。

実際に乗ったバスはこちら
最初の写真のバスに乗って待っていたところ、こっちに乗り換えることになった。
ドンバン→ハザンは14万ドン。

ハザン到着、ペンシルビルに泊まる
バス駅の裏手にある宿に泊まった。次のズーザーにバスで行く予定だったので。1泊35万ドン。
ズーザーへのバスは?
ズーザーへは1日に数本のバスがあるとネット情報で見ていた。まずバス駅に行ってみるが、やはりバスはないと言われる。かろうじて英語が通じている(のだろうか)のはここだけ。
バス駅前の交差点近くで食事がてらバスのことを訊いてみるが、朝の5時だけ、らしい。1日に1本、5時だけとは本当だろうか。
そこらを歩いて色々な人に訊いても、わからないか、5時と言う。
5時は5時であるとしても、他にもあるはずと思うのだが、それがまったくわからない。スマホの翻訳を使ってみても答えは同じだ。
そうこうするうちに中国語で「なんか困ってるのか」と話しかけられた。若い中国人だった。これこれこういうわけでバスの時間を知りたいのだと説明すると、ついてこいと言われる。人一人通るのがやっとの路地を進み、そこにある建物の前で別の中国人に引き渡される。
「1泊20万ドンな!」
といきなり言われる。いやいや、泊まりたいんじゃなくて、明日のバスの話なんだ……、とまたひとしきり説明。遠い昔の中国の招待所のような建物だ。ぱたんとドアが開いて、半裸の見るからに中国人のおっさんが洗面器を持って出てきた。いよいよここは中国かと思う。シャワーが外ということはトイレも外だろう、それで20万ドンはけっこう高いな(^^;
応対してくれた30代くらいに見える中国人が、どうやら明日早朝のバスを仕切っているようだった。バスは早朝4時(1時間早まった)、決まっているのはその1本のみで、あとは何時かわからないし出ないかもしれない。とのこと。
そもそもお前らズーザーに何しに行くの?
土曜の市を見たいんですよ
そのあとどうすんの?
メオバックへ抜けたい
メオバックへはバスはないぞ?
バイタク、は怖いからタクシーで行けないかなと思ってる
タクシーはめちゃくちゃ高い、人民元で●●くらいだ、くっそ高いだろ? だからお前らはズーザーからここへ戻って来なくちゃいけない、そんな高い車に乗らなくていい
うーんでもメオバックに土曜に居たいんだよね
ズーザーからここへ戻ってメオバックへのバスに乗ればいい
午後でもあるかな?
あると思う(ほんとかいな)
半裸の洗面器持ったおっさんが
「え、お前ら中国人じゃないの? じゃ、何人?」
と訊いてくる。人のよさそうなおっさんだ。何しに来ているんだろう、トラックの運転手かな。
バスを仕切っている(ように思える)男が、「お前らは明日の4時15分前にここに来い。そしてそこに貼ってある電話番号に電話しろ」と言う。「いや私はベトナム語できないし、中国語も電話じゃ難しいです」と言うと、大丈夫だ、ここに誰かいるからそいつに頼め、と(草木も眠る丑三つ時ではないか)。
バスでズーザーに行くなら朝4時。
ということしかわからない。確実なのはそれで、そのあとの時間帯のことはわからない、と。交差点で待っていればいつかそのバスが湧いて出てくるかもしれないし、だめかもしれない。
中国人がいたからここまでわかった、とも言えることは言えるのだ、少なくとも会話は成立したので全くできないベトナム語でのやりとりよりは真実味がある気がする。やりとりができたことは素直にうれしかった。
本当のことは何もわからない……。そんな気がする。誰もが自分に利のある答えしか出してこない気がする。すごく奇妙な感じだ。そして実際、バスは定時ではなく、何かの加減で適当に走っているものなのかも。
ズーザーとメオバックをあきらめる
行こうと思えば行けたし、最後まで迷ったけれど、今回はハザンはこれで終わりにしてカオバン省へ向かうことに決めた。
ズーザーの市はおもしろそうではあった。が、非常に小さな村であり、地域の発展より先に観光客が押し寄せてしまった村であることは何となく想像していた。商人宿のようなものではなく、欧米人主体のバイクツアーのためのゲストハウスが多そうだと、地図からの想像だが思っていた。そういう場所は苦手だ。
メオバックから先も、やれる自信はあったが、時間に余裕がなくツメツメになるのもちょっとな……。
何より、ハザンがさほどよい場所とも思えなかった、というのがいちばん大きかったかもしれない。
バスを巡って中国人数人とやり取りしたのが里心を誘ったというか、中国の方が面白いなと思った。予定より早めに中国に入ってゆっくり動こうと決めた。
ハザンからカオバンまではバスで10~12時間くらいらしい。直通のバスは1日1本のみで、午前5時。これまた早朝の出発だ。気が進まないので却下。
直行ではなく、途中で刻んだらどうかと考えて、地図で真ん中よりちょっと先の、バオラックという町を目指してみることにした。朝、走っているタクシーをつかまえて訊いてみると、例によって会社のアプリの値段よりも安く行く、と言うから乗ることにした。ズーザーもタクシーで行ってしまう手はもちろんあるのだが、まぁもうそれはいいだろう。
運転手がびっくりするくらい運転が下手でやたら時間がかかったが、無事バオラックに到着した。
因みにハザンからカオバンに行くには、直通バス以外にバオラム経由でバスがあった。ハザン→バオラムが11万ドン(ハザンバス駅調べ)、バオラム→カオバンが14万ドン。一日数本はある。早朝以外も走っていた。

バオラックの中心部

川の近くに市場がある

子犬をたくさん運んでいた

市場の前の店でフォー
フォーなんだけど、やっぱり乾麺の感じ……。

夕暮れ時の市場前

小さな町だ

泊まった宿
翌朝、欧米人グループを見かけた。同じ宿に泊まっていたようだ。カオバン発でハザンの方へ向かうバイクツアーだった。
宿の人に前日カオバン行きのバスを訊いたところ、朝8時にあるという。バス駅のようなものはなく、宿の前で待っていれば乗れるというので、いちおう電話してもらっておいた。8時すこし過ぎてからミニバンが来て、カオバン行きとのこと。バオラムから来たらしく、私たちが乗ると満席になった。1人10万ドンだった。

こんな感じのミニバン

トイレ休憩
久々の野外トイレを満喫(^^;
山道が多く、けっこう時間がかかる。カオバンに着いたのは昼過ぎだったと思う。
着いたのはカオバンのバスターミナル。ちょうど1台のミニバンが出発するところで、同じバンに乗ってきた人の何人かはそちらに乗り込んで行った。訊けば中国国境へ行くと。
「もう出発するよ、急いで急いで!」
と言われたが、今日行く気はない。「明日行く!」と伝えると、バスは出発していった。

TRA LINH 中国国境
明日はここまで来てこのバスに乗れば国境まですんなり行けそうだ。
(つづく)
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