2025年4月、中国南部とベトナム北部の旅に出かけた。
中国のビザ免除が再開されたことが大きい。久しぶりの中国だ。
成田から福州
成田を発ったのは4月8日の午後。初めて利用する厦門航空で福州へ。
チケット購入後にこの便がキャンセルになって一日前倒し。さらにその後に乗り継ぎの昆明行きもキャンセルになってこちらは時間変更になった。厦門航空大丈夫か。

福州上空
どんよりと曇った福州に無事到着。

無料ホテルの受付
「福州市の旅客サービスセンター」なんて名前だから違うと思い、前を通り過ぎて警備員さんに訊いて戻ってきた。厦門航空は乗り継ぎで6時間以上時間が空く場合、無料でホテルに泊めてくれる。

福州の海岸。ちょうど飛行機が飛んでいる
昆明に飛んだのは成田を出た翌日の夕方。昆明着は夜の7時過ぎ、と思ったら遅延して8時近くになった。

水田が湖のよう

昆明空港の中

エアポートバスの切符売り場
これで「南部バスターミナル」まで行きたかったがどうやら廃止された模様。エアポートバスは昆明駅と高鉄昆明駅へ行くものしかなかった。

その他いろんな街に行けそう
高くてもエアポートバスで行きたかったが、ないのでは仕方がない。ターミナル内に戻り、地下鉄で向かうことにする。切符は自販機で、現金で購入できた。

地下鉄車内
いやぁもう日本と何ら変わらないですね。中国は別世界だったのは過去の話だ。

南部バスターミナル近くの賑わい
夜市が開かれていて、服や靴などがたくさん売られていた。

宿近くのチャーハン屋台
自分で具材を選んで渡すと豪快に炒めてくれる。
「二人で食うのか~」とご飯大盛にしてくれた上、わざわざ2つに分けて容器に入れてくれた。
私たちが日本人と知ると俄然興味を持ったようで、
「日本のお金を見てみたい」
と。
かつてそういう詐欺があった。日本(でも他の国でも)のお金を見せてくれ、とお金を出させ、抜き取ってしまうやつ。香港で一度そういう奴に絡まれたことがある、その時はJORDANOの店員さんが助け舟を出してくれたっけ。
そういう話なのかと思いつつ、
「お札は持ってないんだけど硬貨なら」
と見せてみた。すると、
「人民元は要らないから、日本のお金で欲しいな」
だって。
スマホでレートを調べると1元は19.6円ほどだった。それを見せながら、
「10元は196円だけど、細かいのないから200円になるけど」
「欲しい欲しい!」
「ほんとにいいの? 換えられないと思うよ?」
「換えないからいい!」
ということで、日本円で200円を渡して笑顔で別れた。
昆明でまさかの、クレカが機械に食われる
その後、ホテルで訊いた近くの銀行ATMにキャッシングに行った。中国農業銀行だ。一抹の不安(出来ないんじゃないか)はありつつも、ATMにはVISAもMASTERも表示があるから出来るんだろうと思って、MASTERのカードを入れてみた。機械が言うとおりに作業を進めたが、「ごめん出来ないみたい」というような表示が出て、あ、ダメなんだなと思った、ここまではまぁよくあることなんだが、その後カードが出て来ない。吸い込まれたっきり、ATMはもう次の客の待ち受け画面に戻ってしまった。
カードが吸い込まれる!
そういうことがあるという話は知っていたが、まさか自分に起きるとは!
インターホンのようなもので遠くの誰かと話をするが、なんせ英語は通じないし、中国語だって私はカタコトしかわからない。「明日の朝、銀行が開いてから」ということしかわからない。誰も来てはくれないらしい。しばらく無意味な会話を続けたが埒が明かないのでホテルに戻り、受付の人に緊急電話をかけてもらう。が、結局は「明日の朝、銀行が開いてから」、なのだった。
翌朝、9時ぴったりに銀行に行くが、何の対応も取られておらず、吸い込まれたカードを取り戻すための手続きをやってもらうのに一苦労。ようやく機械を開けてカードが戻ったが、そのためにパスポートコピーは取られるわ、何か所もサインはさせられるわ、やたらと面倒だった。銀行の人がいる前でもう一度やってみたが、何とまたカードが吸い込まれた。同じ手続きをもう一度やって、カードを取り返す。
別に現金がなくても何とかなりそうだとは思ったのだが、こうなると意地になってしまい、宿をチェックアウトしてから中国銀行に向かった。
中国銀行は国営銀行(なのだろうか)、中国では最も権威ある銀行であり、かつてはここでしか外貨を両替できなかった記憶がある。中国銀行に行けば当然キャッシングも両替もできるだろう。
ところが、中国銀行のATMで、またしてもカードが吸い込まれてしまった。一体何なのだろう、中国のATMはどうなっているのだ。
銀行員さんによると、「出来るのだが、今は機械が壊れていて……」。いやそうじゃないでしょうとは思ったが、言っても仕方がないので日本円を両替したいと申し出てみた。すると、「中国銀行に口座はお持ちですか?」「……、持ってないです」「口座がないと両替は……」
いやいや外国人は中国銀行に口座なんて持ってないでしょ普通!
行員のお姉さんは困り果て、我々も困ってしまい。
そこへ別の男性行員が、アクロバット的な解決策を提示してきた。
たまたまそこにいた顧客の口座を借りて日本円を人民元に両替する、という……!
たまたまそこにいただけのお客さんを説得する行員さんたち。お客さんは不安だ、自分に何か不利益がないのかをずいぶん確認していたが、やがて納得したのか「現金やり取り」ブースに入り、そして我々は日本円を出して代わりに人民元を受け取った。
ようやく人民元を手にすることができた。行員のお姉さんは「お釣りポーチ」と印刷された赤いポーチをおまけにくれ、我々を玄関の外まで見送ってくれた。その時、私の背中に添えられた手が、「言葉もできない外国の老人を労わるそれ」だったことを、後から気がついた。
いつの間にか私は年を取っていた。右も左もわからず、「中国銀行」の場所を訊くのに「ちょんぐおいんしん(正しくは、ちょんぐおいんはん)」とかのたまって道行く人の首を傾げさせていた23歳の私は、気がつけばそれから37年も生きて還暦のおばあさんになっていたのだった(!)。

中国銀行、昆明の小さな支店
ようやく手に入れた人民元は、しかし心もとない額だった。
本当に、別に現金はなくてもまったく大丈夫だったのだが、スマホ決済にも慣れないのでこの時点ではやはりもう少し持っておきたかった。田舎に行けば行くほどキャッシングの成功率は下がると思ったし。
中国銀行のお姉さんが「建設銀行ならできるかも」と教えてくれたので、そこに行ってみた。
すると何と、ATMでキャッシングができた!
実はMASTERで一度失敗したのだが、カードは吸い込まれることなく戻ってきた。その後VISAでやってみたら成功した。
何だかさっぱりわからないが、ともかくキャッシングが出来、現金を手にすることができたのでよしとしよう。

非常感謝! 中国建設銀行!
そんなわけで、中国到着3日目午前は、銀行巡りで潰れてしまった。午前中に出るバスに乗る予定だったが間に合わず、昼過ぎの便に乗ることに。

南部バスターミナル近くの風景
昆明は大都会だった。その端っこしか見ていないが、自分の知る昆明とはまったく別の街になったことは確かなようだった。昆明に初めて行ったのは1989年。その後何度か行き、最後に寄ったのは2011年、ただしその時は現在の昆明駅に到着してそのまま次の目的地に向かったので、殆ど何も見ていないに等しい。
(つづく)
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